池田秀一の「三倍速く!!シャアが行く!」(池田秀一)

サブタイトルは「~ガンダム人間探訪記~」。シャア役の声優池田秀一による関係者との対談集。初出はガンダムエースの連載。
対談相手は声優が多いが、後半はタレント編・クリエーター編としていろいろなガンダム好きな人たちが登場。知らなかった話も多いし、人によってひいきのシリーズが異なるのは当たり前だが不思議でもある。対談の終盤がいつもいきなり締めに入ってまとめている感じだが、実際はきっともっといろいろしゃべっているのではないか。書籍にするならせっかくだから雑誌で入りきらなかった部分を追加して欲しかった。
福井晴敏とは赤の肖像の朗読劇直前での対談で、朗読劇もそうだがこの対談集は誌面でなくてラジオだったらきっともっとおもしろそう。特に声優どうしの時は。
表紙の安彦良和によるシャアのイラストは貴重かも。
戸田恵子と一時期結婚していたとはびっくり。短期間だったようだが。コナン原作の青山剛昌がなんで出てきているのかと思ったらけっこうなガンダム好きで、FBIの赤井秀一は実はシャアをイメージしていて、声も池田秀一が当てたのだとか。
作家ではUC原作の福井晴敏とAOZを書いた今野敏が登場。野沢那智が亡くなったことは触れているがブライトの鈴置は普通に鈴置君呼ばわり。声優仲間での呼び方がそれぞれ愛称なのが業界らしい。

| | トラックバック (0)

ヨコハマB-side(加藤実秋)

ヨコハマとタイトルにあるが、中華街もみなとみらいも出てこなくて、西口のビブレ前広場を共通の舞台に少しずつかぶる登場人物たちの連作短編。
横浜らしさはないどこにでもあるような繁華街だが、それでいて確かにあの場所らしい仕上がり。登場人物の重なり具合が絶妙。ラストでは一堂に会する。
パニッシャーという全体を通しての謎を敷きつつ、個々の話をまとめていて、なおかつ実は最初の短編にそのパニッシャーの正体である人物も描かれている。
埼玉からのコンプレックスが書かれる一方で市内での区ごとのヒエラルキーのようなものも描かれてあるあるな感じ。
最初の一編が2004年10月号の雑誌で残りは2007年から2008年にかけて。もう少し古いかと思っていたが案外最近。
お笑いコンビのキャラクター漫才に受けた。キティ姐さんやらピングーやらリラックマやら。スヌーピーは出ないが。

| | トラックバック (0)

小説あります(門井慶信)

おさがしの本は、の続編ということは最初のページの図書館返却期限票風の装丁で見当がついた。実際図書館存続に奮闘した和久山も登場する。しかしあくまで脇役。今回の主役は同じN市の文学館の嘱託という立場の郁太。
前回は図書館の存在意義に関する議論だったが、今回はさらに大きく小説を読む意義について。死後のサイン本をめぐるミステリーという体裁を取りつつも小説の意義に関する論争が主題か。
徳丸敬生(のりお)という作家が実在していそうに思えるが、どうやら巻末にあるとおり架空のものらしい。実名で評論家や出版社がばんばん出てくるのでリアル。モデルとなる作家でもいるのだろうか。ぴんとこないが。調べる前に読み進めたくなり調べないまま読んでしまう。検索してもこの本の感想しか出ないから違うのだろう。
モデルといえばN市も分からない。都下となると西東京市あたりか。神保町や市川、岡山の長船などの地名も出てくる。
悪いと思いつつ滅ぼせないものとして原子力発電所が挙げられていておやと思う。刊行は2011年7月。震災後ではあるが、作中の名探偵が関係者を一同に集めるかのような閉館式は平成23年3月31日とある。招待状を用意しているくらいのタイミングで起こっているであろう震災には触れられていない。原発関連はもともとなのか刊行時の加筆なのか。

| | トラックバック (0)

«ヒポクラテスのため息(福田和代)