ギャングスター・レッスン(垣根涼介)

アキシリーズの2作目。先日再読したサウダージとこちら、単行本での刊行時期はほぼ同じで、どちらが2作目でどちらが3作目だったか忘れていたが、読み返してみるとこちらがあきらかに2作目だった。この作品での内容の一部がサウダージの中でも触れられているし、サウダージはヒートアイランドから2年後の設定。こちらは1年後のアキと柿沢・桃井の再会から始まっている。
やはり場所にポイントを絞って読んでもけっこう絞りこめる内容。カルタヘナはグーグルマップの内容自体コロンビアが薄いためにプロットできなかったが。それよりも車関係が作者の趣味炸裂という形で、ついていけない部分も多い。
単行本で読んだときも思ったが、本編最後の、各編脇役のその後の一部がけっこうショック。いいキャラだっただけに惜しい。そして本編で憎めない男として登場する柏木のその後がリオを舞台に描かれていて、サウダージの後だと性描写もたいして気にならず、さらっと読める。なるほど、この調子なら退屈しない人生かもしれない。

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函館水上警察(高城高)

このミスのランキングに入っているのを見て読んでみた。しかしカバーでの紹介文にあるように「時代警察小説」といったもの。現代の警察小説ではない。
そこは承知で読み始めたのだが、どうも読みづらかった。これが同じ自体でも横浜が舞台ならまた違ったかもしれない。巻頭には当時の函館の地図が収録されており、さらにご丁寧にも船の図版も2点ほどある。
主人公の水上署次席の警部はなかなかに個性的な人物。仲仕たちの争いを納めるシーンにその人物がよく出ている。
タイトルのシリーズは連作短編4話で、最後に収録されているのはそれより時代がいくらか古い、若き日の森鴎外が軍医としてコレラの流行について函館に調べに来るという筋立て。これが中篇という程度のボリュームがあって、それでいて警察はほとんど関係ない。ミステリーではあるのだが。

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サウダージ(垣根涼介)

以前単行本で読んでいたものを舞台の場所のチェックがてら文庫で再読。単行本は唇のアップというやや近寄りがたい装丁だったが、文庫は風景写真で落ち着いたもの。
改めて読んでみるとけっこうラブコメ度が高かったのだと気づく。アキ自身、自らの立場をラブコメと認めている。まぁラブコメというには性描写がきつすぎるか。クレイジーケンバンドの歌が引用されたり、太字を使ったりしてある箇所はまぎれもなくコメディ。
高木とDD、アキと和子の全く違うタイプの二組のつきあいが出会いから並行して描かれている。我が道を行く美人のコロンビア娼婦と一見優男ながら暗い過去を持つ高木。裏家業見習いで、渋谷でヘッドを張っていたこともあるのに恋愛にはとことん初心者のアキと聡明なデザイナーの和子。シリーズ前作の筋立てにも触れているので、順に読むなら「ヒートアイランド」を先に読んでおくべき。
読み直すまですっかり忘れていたがディズニーランドも舞台になっている。そして急襲する取り引きの舞台は有明埠頭。やはりけっこうきっちりと場所が分かるようになっていて、そういう意味でもやはりこの作者の作品は面白い。読んでいて誉田哲也の作品とも似ているように感じた。作者の世代的にも同じくらいか。

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