鏡の顔(大沢在昌)
サブタイトルに「傑作ハードボイルド小説集」とあるとおり、既出の大沢作品の短編のベスト盤的な内容。しかし自選によるものではなく、編集者によるセレクトとなっている。版元はランダムハウス講談社で、ランダムハウスなのか講談社なのかよく分からない社名だが、基本的にランダムハウスなのだろう。しかしセレクトした編集者はずっと講談社にいた人であるらしい。あとがきがあると思ったら編集者あとがきだった。
新宿鮫の短編「夜風」が書籍には初収録というのが売りのようだが、他はどれも別の短編集などで読んだことのあるような内容。初出はその「夜風」についてしか書かれていない。
それよりも鮫島・佐久間公・ジョーカーという大沢作品の主要キャラの作品がそれぞれ収録されているというのがいかにもベスト的なところ。むしろそれならジョーカーの出てくる作品を別の短編集に収録のものも含めてちゃんとまとめてもらいたいところだが。そして新宿鮫の短編もそこそこの数にはなっているはずだが、まだ本にならないのか。
既存の短編の再発見としては、別の短編集の表題作でもある「冬の保安官」について、別荘地の見回りをする主人公が横浜の警察官だったということがあった。「ハマのシェリフ」というあだ名もあり、今回読み直すまではすっかり忘れていた。
朗読会で作者自らが朗読した「二杯目のジンフィズ」や、短編なのに濡れ場が2回もある「ゆきどまりの女」、殺し屋とカメラマンが平行して描かれる表題作の「鏡の顔」、それに佐久間公やジョーカーの短編もそれぞれ以前別の本で読んで内容を覚えていた。印象深い作品という意味では確かにベスト盤入りする内容なのだろう。
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