植物図鑑(有川浩)
野草料理小説少女漫画風、といったところか。
表紙カバーのイラストのキャラでそのまんま少女漫画になりそうな話の展開。行きがかりでイケメンを拾って、というストーリーはいかにもな感じ。女性の作者ならではの視点もうかがえる。
ただ主題は野草。雑草ともいうが、そこは作中で何度も繰り返される昭和天皇の言葉があるので。あとがき以降道草という言葉も出ていて、まさに文字通り道草を食う話ではある。もっともこの作者のあとがきは少なからず作品のイメージが変わるので、作品を読み終えるまで読まないように我慢するべき。
舞台がどこかはほとんどヒントがないので特定のしようがないし、どこかモデルの場所が実在するかどうかも分からない。標準語圏ではあるようなので首都圏のどこかなのだろうが。そもそも具体的な地名がゆずポン酢の説明で馬路村が出るだけだった。高知の話が出てくるのは作者の郷里だからだろう。
「料る」という言葉が説明なくでてきて何かと思ったが、どうやら狩ると対で使っていて、料理するという意味らしい。はじめて聞いた。
巻頭と巻末に植物の写真がそれこそ図鑑のようにカラーで収録されており、章のタイトルになっている花や草以外にも作中に登場する野草はすべて網羅している様子。カーテンコールの作品に出てくる花もきっちり収録。そのカーテンコールには、本の冒頭に出てきたヘクソカズラらしい花も出てきてうまく一巡してまとめた感じもする。それにしてもやはり有川作品にははずれがない。
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